どのような場合に逮捕されてしまうのか

どのような場合に逮捕されてしまうのか

憲法・刑事訴訟法は、逮捕が出来る場合を厳しく限定しています。
では、どのような場合に逮捕されてしまうのでしょうか。
逮捕には、大きく分けて次の3つの種類があります。

①「通常逮捕」、②「現行犯逮捕」、③「緊急逮捕」です。

それぞれの詳しい説明は省略しますが、大雑把に言えば、①が原則で、②・③はその例外と言えます。
そこで、逮捕の原則形態である「通常逮捕」を前提に、どのような場合に逮捕されるのかを簡単に説明します。
まず、捜査機関が逮捕をするためには、裁判官の発付した令状(いわゆる「逮捕状」と呼ばれるものです)が必要です。
次に、どのような場合に裁判官が令状を発付するのかということですが、これについては「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」が認められる場合と考えられています。

1つ目の「逮捕の理由」とは、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」です。

そして、2つ目の「逮捕の必要性」とは、逃亡または罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれがあるため、被疑者の身体を拘束することが相当であることなどと一般に理解されています。

このように法は、被疑者であれば(さらに言うなら、たとえ被疑者が真の犯人であったとしても)当然に逮捕できるとはしていません。言い換えると、悪いことをしたのだから逮捕されても仕方がないのだという考え方を法は認めていないのです。
ですから、被疑者という立場に置かれたからといって必ず逮捕されるわけではありません。以前にもお話したように、逮捕されている被疑者は全体の3分の1程度ですから、残りの3分の2近くの被疑者については逮捕されないまま捜査が進められていることになります。

 しかし、ここで注意しておきたいのは、被疑者だからといって必ず逮捕されるわけではないという一方で、無実だからといって逮捕されないという保証もないということです。ニュースや新聞などでも報道されているように誤認逮捕や冤罪事件が今も後を絶たないことは、人は誰しも誤って逮捕される可能性があるということを物語っています。

 また、ここでもう1つ注意しておきたいのは、逮捕されている被疑者が全体の3分の1程度にまで絞られているからといって、現実に行われている逮捕の全てが法の理念に適っているかというと必ずしもそうではないということです。私たちは、毎日のようにニュースや新聞で事件の発生とその被疑者の逮捕の報道を目にします。しかし、そこには本当に「逮捕の必要性」があるのかと首を傾げたくなるものも少なくありません。

また、近時(2016年7月)、被疑者とは全く別人の犯人が映っているドライブレコーダーが存在していたにもかかわらず、「逮捕の理由」が認められて無実の者が被疑者として逮捕・勾留され、起訴までされてしまったという事件も起きています。
もちろん、世の中に違法・不当な逮捕が横行しているというわけではありません。しかし、「逮捕の理由」や「逮捕の必要性」に疑問が残るような逮捕も決して少なくないのです。そのような「逮捕の理由」や「逮捕の必要性」に疑問が残るような逮捕が生まれる原因の1つには次のような逮捕手続の構造的な問題があります。
まず、捜査機関は、捜査機関の立場で逮捕状を請求します。その際、捜査機関は、逮捕の要件があるという主張とそれを裏付ける資料を提出します。

しかし、当然のことながら、そこには、被疑者にとって有利な事情(逮捕の理由や必要性がないことを裏付ける事情)の全てが盛り込まれているわけではありません。

そして、裁判官は、そのような捜査機関から提出された一方的とも言える主張と資料をもとに、逮捕の要件を判断することになります。
このような構造的な問題があるからこそ、弁護人が捜査機関とは異なる立場から、被疑者にとって有利な事情を裁判官に示して、逮捕の理由や必要性がないことを主張する必要があるのです。
同じようなことは逮捕に引き続き行われる勾留という手続にも当てはまります。しかも、期間が最長でも72時間と定められている逮捕とは異なり、勾留は、期間が最長で20日間(一定の犯罪については25日間と定められています。また、起訴された後の勾留は、数か月、ときには数年に及ぶこともあります)にも及ぶ身体拘束ですから、その問題はより深刻なものとなります。

 ですから、捜査機関から疑いを掛けられたら、たとえすぐに逮捕されるようなことがなくても、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。

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